— 桜の気持ち —

タイトル「桜の気持ち」

作: ぱん(当時・小学生)

ある春の日のこと・・・。
学校の校庭に桜が咲きました。これは、小さな桜のお話です。

私は、小学校の校庭にある小さな木に咲きました。
少し時間がたったのでしょうか、校舎の中から子供がやってきて、校庭を元気いっぱい走り回っています。
私には、足はないし、声も出だせないので、少しうらやましく感じてしまいます。
すると、ひとりの子供が走りよってきました。私の前で立ち止まると、
「わぁ!さくらだ かわいい~」と、言ってくれました。
私は、嬉しい気持ちでいると、子供たちが次々にやって来て、
「かわいい~」「きれい」と、言ってくれます。
私は、子供たちのように、走り回って遊んだり、声を出したりすることは出来ないけれど、子供たちが誉めてくれる。それが私にとって一番の幸せだと思いました。

しばらくすると、空がオレンジ色に染まり、子供たちは帰ってしまいました。
「もう帰っちゃった・・・寂しいな・・・」そう思っていると、外は真っ暗になっていました。真っ暗で静かな夜は、ちょっぴり苦手です。
すると、静まりかえった校庭の中に、虫たちの声が聞こえてきました。その声に聞き入っているうち、しだいに空が明るくなってきました。

私の前を、ランドセルを背負った子供たちが歩いています。すると、子供たちが私のところへ走ってきて、
「さくらだぁ かわいい~」と、言ってくれました。
学校のチャイムがなり、子供たちが校舎の中へと入っていきました。それと同時に、ぽつぽつと雨が降ってきました。私は、少し悲しくなりました。
数日たっても雨は止みません。私は、子供たちが遊びに来なくなったことで、雨が嫌いになりました。
そんなことを思いながら空を見上げると、雨もがあがり、おひさまが見えてきました。そのとき、ひとつ気になることがありました。それは、私が咲いたときよりも、暑くなっていることでした。
私は、なぜ暑くなっているのか考えました。その答えが見つかるとともに、悲しくなってきました。それは、私に終わりが近づいているということ、もう、次の季節がやってきているということでした。



その夜、私は考えました。
私がいなくなれば、もう子供たちに会えない。もう子供たちに誉めてもらえない。そう考えると、ますます悲しくなりました。
次の日、桜の花びらは散っていきました。私のもとに子供たちがやってくると、
「あっ さくらのお花 散っちゃう・・・」
「またね~ ばいばい~」と、言ってくれました。
きっと子供たちは、次に私が咲いたときも、誉めてくれるだろうと思いました。

そして、春の終わりごろ、私は、ついに桜の木から落ちました。

それから、寒い冬が過ぎさり、暖かな春が来るのを待ちました。

暖かな春の日、小さな桜が、少しだけ大きくなった子供たちと再会できるのは、もう少し先のお話です。



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