愛する妻と大切な娘。一緒にいるのはどちらなのか?
もし、この物語のような状況におかれたとしたら、ぼくは平常心を保つことができるのだろうか?
まちがいなく出来ないだろう・・・・・
どちらかが欠けた時点で心が崩れ落ちてしまうと思う?
そんなことを考えながら視聴した作品、東野 圭吾氏 作 2010年に放送されたテレビ朝日系列 金曜ナイトドラマ『秘密』を紹介します。
「永遠なんて無いことに、なぜ気づかなかったのだろう?」
この言葉が痛烈に心に突き刺さってきた・・・・・
あの頃、このドラマを観ることができていたならば・・・・・
大切なものが何なのか、気がつくことができたのではないだろうか?
共に人生を歩みだした彼女と、幸せな日々を過ごす事ができたのではないだろうか?
愛するということを教えてくれた彼女達と離れずにいられたのではないだろうか?
過ぎた時間をもどす事は出来ないが、
これからの時間の中で同じ過ちを犯さないように、
心に楔を打ち込んだ。
◆INTRODUCTION
予感めいたものなど何一つなかった。
これまでの40年がそうであったように、その日も、また、平凡で穏やかな1日であると信じていた。
世間を騒がすニュースも凶悪な事件も自分には関係のない出来事で、
僕らを取り巻いているのはありふれた日常だけ・・・・・。
そのありふれた幸せに気づくこともなく、
その日、ぼくは妻と娘を送り出した。
あの時、なぜぼくは、もっとしっかりと二人のうしろ姿をこの目に焼きつけなかったのだろう・・・
なぜもっと長い間、娘に手を振ってやらなかったのだろう・・・永遠なんて無いことに、なぜ気づかなかったのだろう?
杉田 平介の妻 直子と一人娘の藻奈美は、直子の実家がある長野へと深夜バスで向かいました。
深夜バスで故郷へ向かう途中、バスの運転手である梶川幸弘の居眠り運転によりガードレールを越え、崖下へと転落してしまいます。
その頃、2人を見送り自宅でくつろいでいる平介のもとに、テレビから流れるバス転落事故のニュースをみた友人 小阪洋太郎から連絡がきます。平介は小阪の話を聞きながらテレビのニュースに目をやると、バス転落事故の被害者として妻と娘の名前が読み上げられるのでした。
平介は東京からタクシーで被害者が運ばれた病院へとやってきます。病院についた平介は、医師から妻と娘の状態を聞き呆然とする中、看護師が妻 直子の意識が戻ったという報告を耳にするのでした。
医師の後を追い、2人のいる処置室にやってきた平介は、傷ついた妻と外傷はないが昏睡状態の娘の姿を目にします。
平介は妻のもとに駆けより「直子」と、名前を呼びかけると、平介の存在に気がついた直子は、すぐさま、娘 藻奈美の様子を尋ねます。平介が「藻奈美は無事だ。」と伝えると、藻奈美の無事な姿を目にした安堵から「よかった・・・」と涙を流し息をひきとってしまうのでした。
直子が息をひきとり平介が悲しみにくれる中、昏睡状態の藻奈美が目をあけます。
しかし、藻奈美は目をあけてはいるが意識はなく、声を発することもありませんでした。
そんな状態のまま数日が過ぎたある夜、
藻奈美に付き添う平介を意識がなく寝たきりだった藻奈美が呼びかけます。
藻奈美が意識をとりもどした事に喜んだ平介でしたが、藻奈美の口からでた言葉に驚くばかりでした。
それは、娘である藻奈美の内面・魂が妻 直子であるというのでした。
平介は事故により藻奈美が混乱していると考えますが、藻奈美の口からでてくる話の内容は、2人にしかわからない思い出の数々だったのです。
娘である藻奈美の心・意識に宿った妻 直子存在。
一緒にいるのは娘なのか?それとも妻なのか?
不思議な関係の2人の生活がはじまります・・・・・
◆CAST
杉田藻奈美(志田未来)高校生。バス転落事故で昏睡状態に陥り、亡くなった母親 直子の魂が宿る。
杉田平介(佐々木蔵之介)電機メーカー「横芝エレクトロシステム」勤務。バス転落事故で妻を亡くすが、娘の魂に宿った妻と不思議な生活をおくることになる。
杉田直子(石田ひかり)杉田平介の妻。専業主婦。バス転落事故で亡くなるが、意識(魂)は、昏睡状態の娘に宿る。
小阪洋太郎(橋本さとし)平介と直子の友人。藻奈美の担当医。
橋本(喪仮屋ユイカ)藻奈美が通う高校の担任。
梶川幸弘(吹越満)バスの運転手。居眠り運転によりバス転落故を起こす。
梶川征子(堀内敬子)梶川幸弘の妻。
梶川逸美(日向ななみ)征子の娘。中学生。
藤崎和郎(升毅)バス転落事故で双子の娘を亡くした父親。
川辺由梨絵(林丹丹)藻奈美の友人。同級生。
相馬春樹(竜星涼)藻奈美の彼氏。同級生。
吉本和子(地津祥子)杉田家のご近所さん。
根岸文也(田中圭)梶川幸弘の息子。母親はすでに亡くなっており伯母の家で暮らしている。
このドラマにおける杉田平介の心情がなぜか心に語りかけてくる。
それは、娘を持つ父親として、最愛人をもとめる男として・・・・・
妻を亡くした悲しみ。娘が生き残ってくれた喜び。娘の容姿をしていても愛する妻がそこにいる安堵感。
娘なのに目を閉じると妻といる感覚。父親と娘なのか?男と女なのか?
もし、僕が杉田平介の立場に置かれたとしたら心が崩壊しているだろう・・・・・。
ただ、自分のことではなく相手のことを考えると、藻奈美(娘)の中に宿った直子(妻)の心情は想像できないほど辛いものではないかと感じた。
最終話で平介がある人を殴る。その衝動を起こさせたのは嫁いでいく娘への想いからなのか?
それとも・・・妻への想いからなのか?
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